○今別町認知症総合支援事業実施要綱

平成29年3月31日

訓令第10号

(趣旨)

第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第2項第6号に規定する事業(以下「認知症総合支援事業」という。)を実施するため、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要綱における用語は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)、介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号)、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)及び地域支援事業の実施について(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)の例による。

(事業)

第3条 町長は、認知症総合支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

(事業の委託)

第4条 町長は、当該事業の全部又は一部について、適切な事業運営が確保できると認められる法人その他町長が認める者に委託することができる。

(認知症初期集中支援推進事業)

第5条 町長は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができるよう、認知症の人とその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする認知症初期集中支援推進事業を行うものとする。

(支援チームの配置及び役割)

第6条 支援チームは、町、今別町地域包括支援センター、病院、診療所等に配置することとし、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導のもと、複数の専門職が家族の訴え等により訪問支援対象者及びその家族を訪問し、観察・評価、家族支援等初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、今別町地域包括支援センター職員、本町関係職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。

(チーム員の構成)

第7条 支援チームは、専門職2名以上及び専門医1名以上で構成するものとする。

2 専門職は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

(1) 保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等の医療・保健・福祉に関する国家資格を有する者

(2) 認知症ケア又は在宅ケアの実務経験を3年以上有する者

3 専門医は、日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である者とする。

4 前項の規定にかかわらず、専門医の確保が困難な場合は、当分の間、次に掲げる医師を専門医とみなすことができる。

(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある者

(2) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

5 チーム員は、国が別に定める「認知症初期集中支援チーム員研修」(以下「チーム員研修」という。)を受講し、必要な知識及び技能を修得するものとする。ただし、第2項に規定する専門職が、チーム員研修の受講が困難な場合は、チーム員研修を受講したチーム員が当該受講内容をチーム内で共有することで、チーム員研修を受講していないチーム員が事業へ参加することを認めるものとする。

(チーム員の役割)

第8条 前条第2項に規定する専門職は、第5条に規定する内容を達成するため、初期集中支援として訪問活動等を行う。

2 前項の訪問活動等は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づいて行うものとする。

3 前条第3項に規定する専門医(同条第4項の規定により専門医とみなす者を含む。)は、他のチーム員を援助し、認知症に関して専門的見識から指導、助言等を行うとともに、必要に応じてチーム員とともに訪問支援対象者及びその家族を訪問し、相談に応需するものとする。

(訪問の方法等)

第9条 訪問支援対象者及びその家族を訪問する場合のチーム員の人数は、初回の観察・評価の訪問時は、原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とする。

2 訪問支援対象者及びその家族の訪問に係る観察・評価票の記入は、原則として、チーム員である保健師又は看護師が行うものとする。ただし、チーム員でない今別町地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の保健師又は看護師が訪問した上で記入を行うことを妨げない。

(訪問支援対象者)

第10条 訪問支援対象者は、原則として40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症が疑われる者又は認知症である者で、次の各号のいずれかに該当する者とする。

(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない者、又はそれらを中断している者で、次のいずれかに該当する者

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

 介護サービスが中断している者

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けている者で、認知症の行動・心理症状が顕著である者

(事業内容)

第11条 認知症初期集中支援推進事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。

(1) 支援チームに関する普及啓発 地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動及び協力依頼を行う等の取り組みを行うこと。

(2) 認知症の初期集中支援の実施

 訪問支援対象者の把握

(ア) 訪問支援対象者の把握については、支援チームが必ず地域包括支援センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。

(イ) チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センターと情報共有を図ること。

 情報収集及び観察・評価

(ア) 本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。

(イ) 信頼性及び妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。

 初回訪問時の支援

(ア) 初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診及び介護保険サービスの利用の効果に関する説明並びに訪問支援対象者及びその家族の心理的サポート、助言等を行うこと。

(イ) (ア)の説明及び助言等は、おおむね2時間以内を目安として行うこと。

 専門医を含めたチーム員会議の開催

(ア) 初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方法、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医を含めたチーム員会議を行うこと。

(イ) (ア)の会議の開催にあたり、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、本町関係課職員等の参加を依頼すること。

 初期集中支援の実施

(ア) 医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付け又は継続的誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行うこと。

(イ) (ア)の支援は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6ヶ月を目安として行うこと。

 引継ぎ後のモニタリング

(ア) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、地域包括支援センターの職員、担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引継ぎを行うこと。

(イ) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、チーム員会議において、引継ぎの2ヶ月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。

(ウ) 訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は、初期集中支援の終了後5年間保管しておくこと。

 支援実施中の情報の共有について

(ア) 訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、支援チームに情報を提供する等により情報共有を図り、事業実施すること。

(3) 医療機関、関係機関との連携及び情報の共有に関する事業

(4) その他認知症の初期集中支援に関し必要な事業

(今別町認知症初期集中支援チーム検討委員会)

第12条 認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「委員会」という。)は、認知症が疑われる高齢者の早期診断及び早期対応に向けた支援体制の構築に資するため、支援チームの活動のうち次の事項について、検討を行うものとする。

(1) 支援チームの活動状況に関すること。

(2) 認知症に関する関係機関との連携に関すること。

(3) その他支援チームの活動について必要な事項に関すること。

2 委員会の組織、任期等は次のとおりとする。

(1) 委員会は、今別町の保健、医療、福祉関係者、介護保険被保険者、介護サービス事業者及び学識経験者等の委員若干名をもって組織する。

(2) 委員の任期は、2年とする。ただし、再任は妨げない。

(3) 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 委員長及び副委員長の選任の方法、役割等は次のとおりとする。

(1) 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。

(2) 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。

(3) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。

4 委員会の会議は、町長が必要に応じ招集し、委員長が議長となる。

5 委員会の庶務は、町民福祉課において処理する。

(認知症地域支援・ケア向上事業)

第13条 町長は、医療機関、介護サービス事業者及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援並びに認知症である者及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする認知症地域支援・ケア向上事業を行う。

(推進員の配置及びその役割)

第14条 次の各号のいずれかの要件を満たす者を、推進員として配置するものとする。

(1) 認知症の医療又は介護における専門的知識及び経験を有する医師、保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士

(2) 准看護師、認知症介護指導者養成研修修了者等前号に掲げる者以外のもので認知症である者の介護又は医療における専門的知識及び経験を有する者として町長が認めた者

2 町長は、必要に応じて青森県と連携を行い、研修会、関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

(推進員の業務内容)

第15条 推進員の行う認知症地域支援・ケア向上事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。

(1) 認知症である者に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、医療機関、介護サービス事業者、認知症サポーター等地域において認知症である者を支援する関係者の連携を図るための取組

(2) 推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援又は支援体制を構築するための取組

(3) 次に掲げる事業の実施に関する企画及び調整

 病院、介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業 病院、介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、認知症サポート医等が処遇困難事例に対して事例検討を行い、個別支援を実施すること。

 地域密着型サービス事業所、介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業 認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、認知症対応型共同生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、特別養護老人ホーム等が、相談員を配置し、当該事業所等が有する知識、経験及び人材を活用し、在宅で生活する認知症である者及びその家族に対して効果的な介護方法等の専門的な相談支援等を行うこと。

 認知症である者の家族に対する支援事業 町長又は町長が適当と認める者が、認知症カフェ等を開設することにより、認知症である者とその家族、地域住民及び専門職である者が集い、認知症である者を支えるつながりを支援し、認知症である者の家族の介護負担の軽減等を図ること。

 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業 医療及び介護は生活支援の一部であることを十分に意識し、医療、介護等が相互の役割及び機能を理解しながら、統合的なケアにつなげていくため、認知症ケアにおける多職種協働の重要性を修得する認知症多職種協働研修を実施すること。

(守秘義務等)

第16条 チーム員、推進員及び委託法人等は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等を踏まえ、認知症である者及びその家族等に係る個人情報並びにプライバシーの尊重及び保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその事業に関して知り得た個人に関する情報その他の秘密を他に漏らしてはならない。また、その職を退いた後も、同様とする。

(補則)

第17条 この要綱に定めるもののほか、事業の実施に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この要綱は、公布の日から施行する。

今別町認知症総合支援事業実施要綱

平成29年3月31日 訓令第10号

(平成29年3月31日施行)